図書館員@UW研修者のブログ

2017年5月~11月にワシントン大学東アジア図書館で研修していた大学図書館員の期間限定更新ブログ。大学図書館での仕事やシアトルの生活をゆるゆるお送りします。

図書館紹介~ハーバード大学Harvard-Yenching Library編~

東海岸図書館巡りもいよいよ最後、ボストンのハーバード大学をご紹介です。

言わずと知れたアメリカで最も歴史のある高等教育機関です。 

 

まずはキャンパス内の様子を少し。

大学の名称の由来にもなっているジョン・ハーバード像。触ると幸運が訪れるという靴先を撫でる&写真を撮るため、像には観光客の列ができてます。

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今回は訪問しなかったHarry Elkins Widener Memorial Library(ワイドナー記念図書館)。ハーバード大学の図書館数はなんと73館、蔵書数は約2040万冊(大学HPによると)と大学としては世界最大規模を誇り、それらの図書館機能の中枢を担っているのが、メインライブラリーであるこの図書館です。

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センタープラザに面するScience Center内には、2016-2017年にかけて改装されたばかりのGodfrey Lowell Cabot Science Libraryがあります。図書館の利用は学内者のみとなりますが、センター自体は誰でも利用できるので、同じ時期に改装されたCafeで一息つけたりします。

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さて、ハーバード大学では東アジア図書館であるHarvard-Yenching Libraryの他、Harvard Law School LibraryとFine Arts Library の見学をしました。

 

まず訪れたのはHarvard-Yenching Library。

訪問日程が悪くJapanese Bibliographerの方にはお会いできなかったのですが、Librarian for Public Services and E-Resources担当のSharon Li-Shiuan Yang様に館内を案内いただいた他、日本語担当のテクニカル部門(カタログ、発注、受入担当)の皆さまにも面会させていただきました。なお館内の撮影は基本NGのところ、許可をいただき少しだけ撮影させていただきました。 

 

East Asian Languages and Civilizations部門が入るこちらの建物の1階に、Harvard-Yenching Libraryの入り口があります。この建物、昔は地理学の部門が使用していたそうで、館内の階段に地球のマーク?が掘ってあるという名残があったりしました。

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入館すると正面には、レファレンスブックと新着雑誌が壁に沿うように配架されているReading Roomがあります。 

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入館した右手には、サーキュレーションリザーブ、そしてレファレンスデスクがあります。レファレンスデスクは平日の午後、各言語のBibliogpherが日替わりで担当しています。

 

DVDが並ぶ廊下を抜けると、マイクロ資料室と地下1~3階からなる書庫があります。

マイクロ資料は他では中々見なかった量で、特に日中韓の新聞資料について、マイクロで所蔵しているものが多くあります。なおこちらの図書館では日中韓以外にベトナム言語の資料も所蔵しているのですが、ベトナムの新聞はマイクロのものがなく、原紙ままで保管をしているそうです。

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書庫では、日中韓それにベトナム語、西洋言語(東アジア研究を扱う洋書。本来はMain Libraryが収集する対象だが基本的な本は購入しているそう)と、言語ごとに本は配架されています。日本語資料は1階の一部から2~3階部分に配架されています。

Sharonさん曰く、日本語資料は大きさが小さいものがそれなりにあり、書棚数が他より増やして配架できるとのこと。(下の写真の箇所は9段分、書棚の上にまで配架されています!)

Harvard-Yenchingのコレクションとしては、日本語資料は約90%、中国語資料は約60%が図書館にあり、残りがHarvard Depository(外部書庫)に送られているとのことです。(韓国語とベトナム語はちょっとわかりませんが…)

また、書架と書架の間には本をリザーブして置けるキャレルがあります。特に院生の利用が多いそうです。

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本の分類方法は、今はLC分類を採用していますが、1996年まではHarvard–Yenching Classificationを採用していました。今まで回ってきた他の東アジア図書館も、今でこそLC分類を採用していますが、以前はこちらの分類だったという図書館も多かったです。名前の通り、Harvard-Yenching Libraryから広がった分類システムで、LC分類では適切な主題がなかったり、大きな括りになってしまう東アジア地域の分類をより細かに行うことができました。

 

地下の自動書庫には中国書が配架されていますが、棚と棚の間に覗く壁際の書架もそのまま活かされ、本がぎっしりと配架されています。

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地下には書庫の他、事務室もあります。下の写真は整備済みの新着図書ですが、書架には配架されずに外部書庫に行く本たちです。ブックトラック以外にも、送付されるのを待つ箱々がバックヤードに積まれていました。外部書庫の本は取り寄せももちろんでき、箱のやり取りは毎日行われているそうです。

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他にも写真には収めていませんが、3階にあるスペシャルコレクションや、未整理の寄贈資料、北朝鮮出版資料、3年前に収集された館内でのみ利用可のManchuguo collectionなどを見せていただきました。

 

面白い資料としてはこんなものも。ゲーム資料です!

教員が研究のために購入したものを保管しているとのことで、蔵書検索もできるようになっています。ただし再生するためのゲーム機本体はありません…。

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今後ゲーム資料のカタログを取る機会があったら(あるかわかりませんが…)、こちらのレコードを参考にしようと思いました。

 

Sharonさんには、次の予定もありご多忙の中館内案内をしていただいたり、この後訪問することとなるLaw LibraryとFine Arts Libraryの方々にも当日繋いでいただき、大変お世話になりました。テクニカル部門の皆様にも、その場での急な質問に多く答えていただくこととなり大変ご面倒をおかけしましたが、発注からカタログまでの過程を詳細に知ることができた訪問、そしてインタビューでした。ありがとうございました。

 

さてさてまさかのハーバード大学図書館紹介は次回へ続きます。

いい加減、旅行をしてから時間が経っていて、記事をあげるのが遅くて申し訳ないのですが、もう少しだけお付き合いください!