図書館員@UW研修中のブログ

日本の私立大学図書館員@ワシントン大学東アジア図書館研修中の期間限定更新ブログ。大学図書館での仕事やシアトルの生活をゆるゆるお送りします。

Ask us!

久々のワシントン大学東アジア図書館での仕事紹介です!

ここしばらく東海岸の話をしていましが、ちゃんと大学@シアトルで働いてますよ。

 

今日はJapanese Subject Librarianの仕事の一つである、オンラインレファレンス質問の回答プロセスをのぞかせていただきました。

 

アメリカの大学図書館のWebsiteをみるとよく目にするこちらの文言。

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ライブラリアンへ直接「相談」ができる"ask us!"の裏側をご紹介です。

 

ワシントン大学の図書館では、ライブラリアンへの相談を以下の方法で受け付けています。

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チャット、メールフォーム、対面、電話の4種類ですね。

ところで「相談」と強調したのは、この窓口は図書館に関する単なる問い合わせ(利用案内)の窓口ではなく、レファレンスサービスを受けられる窓口だからです。特定の主題に関する事項や調べ方自体のスペシャリストであるライブラリアンと直接コンタクトをとれます。

 

 メールフォーム、対面、電話は日本でも取り組んでいるところがほとんどかと思いますが、チャットはあまり馴染みがないかと思います。

文字通り、リアルタイムでライブラリアンとチャット(オンライン上で文字のやり取り)ができます。

ワシントン大学では24時間365日サービスが行われており、基本的には平日朝9時から夕方5時まではワシントン大学のスザロ図書館やオデガード図書館のライブラリアンが常時2~3人態勢で質問を受け付け、他の時間帯はInformation Schoolの院生が対応してるようです。

チャットの話は他の大学図書館を見学した際にも耳にしたのですが、何が大変かというと、何時くるかわからない質問に常時構えてないといけない、ということです。

 状況としては、レファレンスデスクで利用者が来るのを待っているのと変わらないようにも思います。が、デスクで質問を"受けられる体制"になっているのとは違い、他の業務の合間にチャットが始まり作業を中断する必要があったり、反対にチャット中に事務室に訪問者が来たり。また、世界中の誰もが質問できる、ということで、必ずしも本来の回答対象ではない質問も、デスク以上に受けることになります。

ワシントン大学の場合、東アジア図書館のライブラリアンは直接常時待機しているわけではなく、メールフォームやチャットでの質問の中で東アジア研究に関係するものが割り振られ(転送され)、それに対し回答をしているそうです。

 

ちなみにチャットやメールフォームの管理に使用しているサービスはOCLC提供のQuestionPointです。過去のチャットやメールフォームへの回答履歴も残せます。

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今回Japanese Studies Librarianの田中あずささんの元に来たのはメールレファレンスで、文献調査に関する質問でした。 

 

院生の学生で、J-Stageというデータベースで論文を探し読もうと思ったところ、中身が日本語で読めず、英語のものはないかという質問。日本の論文によくある、タイトルと要旨は英語があるから見てみようと思ったら中身はがっつり日本語だったという悲しいパターンですね…。

 

さて調査したところ、論文の執筆者である3人のうち1人の方が、同英語タイトルでアメリカの学会で発表した会議資料がありました。残念ながらワシントン大学では該当の資料が(電子を含め)なく、中身までは確認できませんでしたが、学生への回答としては、該当部分の学外からのILL(複写取り寄せ)を案内する、ということで終了しました。(国際会議のようなのでおそらく英語でしょう。)

 

ワシントン大学では複写の取り寄せは基本的に無料、PDF送信、(早ければ)即日入手可ということで、研究者としては何ともありがたい環境です。更に、ILLは学外だけではなくキャンパス内の図書館に実はある資料も、申し込めばPDFで送ってもらえるということで、図書館にわざわざ行く必要のない便利なシステムだなと心底思いました…。日本だと著作権絡みでPDF送信は易々とはできないため羨ましい限りです。

 

田中さんにこれらオンラインレファレンスの利用状況を伺ったところ、メールフォームの利用は(ワシントン大学図書館全体で)毎日何かしらはあるそうです。チャットは東アジア図書館に振られるものは学期中でも2週間に1回程度、学内者よりも学外者(州外、国外も!)からの問い合わせが多いそう。

というのも、学内者の場合は(特にJapanese Studies所属者は)田中さんをご存知のため、ほとんどの場合、ダイレクトに相談を行います。そのような方法が取れない、あるいは他の方法を知らない利用者が、このAsk us!経由で問い合わせるようです。

 

ちなみに東アジア図書館に割り振られる質問ですが、明らかに日本関連の質問であるとわかれば直接田中さんに来ることもありますし、漠然と東アジア図書館宛に割り振られたものは、更に誰が答えるかを東アジア図書館内のサブジェクトライブラリアン間で決定するそうです。中には東アジア図書館に回ってきたものの、確認すると他の図書館のライブラリアンが専門とする主題だったという場合もあります。(例えばJapanese American関係はJapanese Studiesではなく、他に専門のライブラリアンがいます。)

 

最後に。数年前まではレファレンス担当だったので、このようなオンラインレファレンスへの回答も行っていたのですが…

オンラインレファレンスは利用者が何をどこまで求めているか直接聞きだせない分、対面以上に時間がかかることがほとんどで、今回のように比較的すんなり?回答できることは少なかったなぁと過去苦労した質問たちが唐突に思い出されました。単に自分が未熟なだけではありますが…。文面で書かれた質問の意図を汲むのも意外と難しいですし、それに対して更に文面で答えるのは何度やっても慣れません。文章構成力を磨きたいものです。

と、こんな感じで過去のことを思い返しつつ、自分の大学でのオンラインレファレンスと共通する傾向を発見したり、どのように答えたどり着き回答するのかという田中さんのプロセスを見られたりして、非常に勉強になった時間でした!

 

~おまけ~

近所を散歩中に発見したミニ図書館。こういうの好きです。

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