図書館員@UW研修中のブログ

日本の私立大学図書館員@ワシントン大学東アジア図書館研修中の期間限定更新ブログ。大学図書館での仕事やシアトルの生活をゆるゆるお送りします。

ベインブリッジ島観光の話

ちょっとどころかだいぶ前回から間が空いてしまいましたが、その間にシアトルも夏が終わり秋となりました…。

昨日今日は突然の雷雨で、その影響か大学前の交差点の信号が機能しなくなってました…車も人も様子を見ながら渡るという…

f:id:seattle2017:20170919153254j:plain 

 

長袖どころかヒートテックも必要となりそうな季節にはなりましたが、暑さが名残惜しいので夏らしい?さわやかな景色をご紹介です。

日本に戻る前に是非もう1回行きたい!と思った素敵な島、ベインブリッジ島です。

f:id:seattle2017:20170915161714j:plain

実は行ったのは8月なのですが、シアトル滞在中にもう1回行くかも?と記事を出し惜しみしてたのでした。(結局忘れないうちにあげることにしました…。)

こちらの島はシアトルのすぐ西側に位置しており、エリオット湾上をフェリーで35分ほどで到着します。フェリーに乗らずとも、ダウンタウン側からよく見えます。

島の人口は2010年時点で2万3千人強。シアトル市内へ通勤できる距離なので、フェリーダウンタウンと島間のフェリーは本数も多く、キャパシティも想像以上に大きかったです。

 

フェリー乗り場はダウンタウンのColman Dockと呼ばれるターミナル。

f:id:seattle2017:20170915161028j:plain

写真中央右の時計は、かつてターミナルのシンボルだったColman Dock Towerの時計だそう。

 

フェリーから見たシアトル・ダウンタウン

ちょうど訪問の前後の週は山火事の影響で、霞んだ日が多かったのですが、この日は霞も少なくシアトルの街並みが綺麗に見えます。

f:id:seattle2017:20170915161918j:plain

夜景も綺麗だそうなので、夜にも一度渡ってみたいですね。

 

今回のベインブリッジ島訪問の目的地の一つはこちら、Bainbridge Island Historical Museum(ベインブリッジ島歴史博物館)。ここは仕事の関係で一度訪れておきたかった場所なのでした。(こちらを含め、主な観光スポットは船を降りて徒歩ですぐにある目抜き通り沿いに位置しています。)

f:id:seattle2017:20170915162105j:plain

ベインブリッジ島はその歴史を語る上で、日系人の存在が欠かすことのできない地です。シアトル出身、ワシントン大学を卒業した作家デビッド・ガーターソンの代表作『ヒマラヤ杉に降る雪』(Snow Falling on Cedars)はこの島が舞台となり、戦後この島で起きたとある事件から露になる日系人を取り巻く環境が描写されています。スコット・ヒックス監督によって1999年に映画化もされていて、個人的には最後5分間の映像と音楽が深く印象に残っている作品です。

この地に日本人が入植したのは(記録されたのは)1882年。博物館は決して大きくはありませんが、第二次世界大戦中、大統領令9066号を受けて強制立ち退きを余儀なくされた日系人の最初の集団がこの島の人々であったことは、展示でも大きく取り上げられています。

f:id:seattle2017:20170915162212j:plain

 

 博物館訪問後は市街散策。

ベインブリッジ島になぜもう一度行きたいと思ったかというと、ダウンタウンから近いのにリゾート感満載かつ好みのクラフト雑貨店が多い!というのが理由です。

どこも外れがなく、個性豊かな作品を見たい!買いたい!という方にお勧めしたいです。

とはいえ私は絶対もう一回行こうと思って今回は特に何も買っておらず…。しかも店名も特に控えたりしてないんで紹介も何もできないという…とにかくだまされたと思ってメインストリートを歩いていただければ…。

 

 飲食店は2か所行ってみました。

一件目はHarbour Public House。ビールとアメリカ料理が楽しめるレストランです。

 

f:id:seattle2017:20170915162936j:plain

こちらでのお目当てBainbridge Island Brewingが提供するクラフトビール。 お店はテラスもあり、海を眺めながら食事ができるのが気持ちよさそうでした。

 

 このお店に行くのに少しだけ湾沿いの散策路を歩くのですが、石像アートが出迎えてくれます。

f:id:seattle2017:20170919171705j:plain

 

 もう1件は夏らしくソフトクリーム店、MORA。

f:id:seattle2017:20170919173121j:plain

気温が30度近い日に訪れたら20mほど?のラインができるほどの大盛況でした。回転は速いので20分ほどでレジまで進めました。Webサイトにも紹介されていますが、種類豊富でシーズンならではのフレーバーが多く揃っています。

列に並ぶ間に時間もあったのに結局ぎりぎりまで迷ってイタリアンチョコレート(クルミ入り)と、Tango Sorbetというオレンジベースのクリームに、刻まれたチョコレートが入っているちょっとさっぱりとしたアイスの組み合わせを選んでみました。この時期はベリー系(ラズベリーブラックベリー等)やスイカ、メロン、そしてラベンダーといったこの地域ならではのフレーバーもありました。

 

 シアトルは特にダウンタウンの辺りは坂も人も多く賑やかですが、その喧騒から離れ、のんびりとしたした休日を楽しみたい、という場合に、ちょっとした小旅行気分が味わえる島なのでした。 

Ask us!

久々のワシントン大学東アジア図書館での仕事紹介です!

ここしばらく東海岸の話をしていましが、ちゃんと大学@シアトルで働いてますよ。

 

今日はJapanese Subject Librarianの仕事の一つである、オンラインレファレンス質問の回答プロセスをのぞかせていただきました。

 

アメリカの大学図書館のWebsiteをみるとよく目にするこちらの文言。

f:id:seattle2017:20170831135750j:plain

ライブラリアンへ直接「相談」ができる"ask us!"の裏側をご紹介です。

 

ワシントン大学の図書館では、ライブラリアンへの相談を以下の方法で受け付けています。

f:id:seattle2017:20170831141308j:plain

チャット、メールフォーム、対面、電話の4種類ですね。

ところで「相談」と強調したのは、この窓口は図書館に関する単なる問い合わせ(利用案内)の窓口ではなく、レファレンスサービスを受けられる窓口だからです。特定の主題に関する事項や調べ方自体のスペシャリストであるライブラリアンと直接コンタクトをとれます。

 

 メールフォーム、対面、電話は日本でも取り組んでいるところがほとんどかと思いますが、チャットはあまり馴染みがないかと思います。

文字通り、リアルタイムでライブラリアンとチャット(オンライン上で文字のやり取り)ができます。

ワシントン大学では24時間365日サービスが行われており、基本的には平日朝9時から夕方5時まではワシントン大学のスザロ図書館やオデガード図書館のライブラリアンが常時2~3人態勢で質問を受け付け、他の時間帯はInformation Schoolの院生が対応してるようです。

チャットの話は他の大学図書館を見学した際にも耳にしたのですが、何が大変かというと、何時くるかわからない質問に常時構えてないといけない、ということです。

 状況としては、レファレンスデスクで利用者が来るのを待っているのと変わらないようにも思います。が、デスクで質問を"受けられる体制"になっているのとは違い、他の業務の合間にチャットが始まり作業を中断する必要があったり、反対にチャット中に事務室に訪問者が来たり。また、世界中の誰もが質問できる、ということで、必ずしも本来の回答対象ではない質問も、デスク以上に受けることになります。

ワシントン大学の場合、東アジア図書館のライブラリアンは直接常時待機しているわけではなく、メールフォームやチャットでの質問の中で東アジア研究に関係するものが割り振られ(転送され)、それに対し回答をしているそうです。

 

ちなみにチャットやメールフォームの管理に使用しているサービスはOCLC提供のQuestionPointです。過去のチャットやメールフォームへの回答履歴も残せます。

f:id:seattle2017:20170831145826j:plain

 

今回Japanese Studies Librarianの田中あずささんの元に来たのはメールレファレンスで、文献調査に関する質問でした。 

 

院生の学生で、J-Stageというデータベースで論文を探し読もうと思ったところ、中身が日本語で読めず、英語のものはないかという質問。日本の論文によくある、タイトルと要旨は英語があるから見てみようと思ったら中身はがっつり日本語だったという悲しいパターンですね…。

 

さて調査したところ、論文の執筆者である3人のうち1人の方が、同英語タイトルでアメリカの学会で発表した会議資料がありました。残念ながらワシントン大学では該当の資料が(電子を含め)なく、中身までは確認できませんでしたが、学生への回答としては、該当部分の学外からのILL(複写取り寄せ)を案内する、ということで終了しました。(国際会議のようなのでおそらく英語でしょう。)

 

ワシントン大学では複写の取り寄せは基本的に無料、PDF送信、(早ければ)即日入手可ということで、研究者としては何ともありがたい環境です。更に、ILLは学外だけではなくキャンパス内の図書館に実はある資料も、申し込めばPDFで送ってもらえるということで、図書館にわざわざ行く必要のない便利なシステムだなと心底思いました…。日本だと著作権絡みでPDF送信は易々とはできないため羨ましい限りです。

 

田中さんにこれらオンラインレファレンスの利用状況を伺ったところ、メールフォームの利用は(ワシントン大学図書館全体で)毎日何かしらはあるそうです。チャットは東アジア図書館に振られるものは学期中でも2週間に1回程度、学内者よりも学外者(州外、国外も!)からの問い合わせが多いそう。

というのも、学内者の場合は(特にJapanese Studies所属者は)田中さんをご存知のため、ほとんどの場合、ダイレクトに相談を行います。そのような方法が取れない、あるいは他の方法を知らない利用者が、このAsk us!経由で問い合わせるようです。

 

ちなみに東アジア図書館に割り振られる質問ですが、明らかに日本関連の質問であるとわかれば直接田中さんに来ることもありますし、漠然と東アジア図書館宛に割り振られたものは、更に誰が答えるかを東アジア図書館内のサブジェクトライブラリアン間で決定するそうです。中には東アジア図書館に回ってきたものの、確認すると他の図書館のライブラリアンが専門とする主題だったという場合もあります。(例えばJapanese American関係はJapanese Studiesではなく、他に専門のライブラリアンがいます。)

 

最後に。数年前まではレファレンス担当だったので、このようなオンラインレファレンスへの回答も行っていたのですが…

オンラインレファレンスは利用者が何をどこまで求めているか直接聞きだせない分、対面以上に時間がかかることがほとんどで、今回のように比較的すんなり?回答できることは少なかったなぁと過去苦労した質問たちが唐突に思い出されました。単に自分が未熟なだけではありますが…。文面で書かれた質問の意図を汲むのも意外と難しいですし、それに対して更に文面で答えるのは何度やっても慣れません。文章構成力を磨きたいものです。

と、こんな感じで過去のことを思い返しつつ、自分の大学でのオンラインレファレンスと共通する傾向を発見したり、どのように答えたどり着き回答するのかという田中さんのプロセスを見られたりして、非常に勉強になった時間でした!

 

~おまけ~

近所を散歩中に発見したミニ図書館。こういうの好きです。

f:id:seattle2017:20170831153742j:plain

広告を非表示にする

図書館紹介~ハーバード大学Law School Library編~

今度こそ東海岸図書館紹介は最後、ハーバード大学Law School Libraryをご紹介します。ハーバード大学ではもう一か所、Fine Arts Libraryも回ったのですが、写真は撮らなかったため簡単な紹介に留めたいと思います。

この2箇所は当初訪問の予定はなかったのですが、Harvard Yenching LibraryのSharonさんに両図書館の方々をご紹介いただき、急遽ご案内いただけることとなりました。

Law School LibraryではLibrarian for Japanese Lawの本宿マリ子様、Fine Arts LibraryではAsian Art BibliographerのNanni Deng様にご案内いただきました。

 

図書館があるLaw Schoolの校舎はこちら、Langdell Hall。他にもいくつか校舎はあるようです。

f:id:seattle2017:20170829093441j:plain

今年はなんとLaw School200周年の年!歴史がとんでもなく長いですね。

 

Law Shool Libraryは、蔵書数はワイドナー図書館に次ぎハーバード大学内で2番目の多さを誇る図書館です。建物の中央から入ると法律家でありハーバード大学教授でもあったJoseph Storyが迎えてくれます。像の制作者は息子であるWilliam Wetmore Story。

f:id:seattle2017:20170829093642j:plain

 

 入館した正面にはCirculation Deskがあり、左手にはちょっとした新聞や雑誌も置いてあるラウンジがあります。ここまでは誰でも利用可能です。f:id:seattle2017:20170830022720j:plain

入館して右手のセキュリティゲートを抜けると、書架のあるエリアに入れます。

f:id:seattle2017:20170830022550j:plain

 

このフロアは2階にあたるのですが、雑誌、レビュー誌が並ぶ書架を抜けると、PCが設置された教室とマイクロ室があります。

マイクロ室は最近改装したそうで、小休憩できる家具が設置されていました。ついついくつろぎたくなるソファー。

f:id:seattle2017:20170830020943j:plain

 

一つ上のフロアへ上がって3階へ。

館内を回っていると、ちょうどユニークなものを設置している場面に遭遇。

Private Talking Spacesです。

f:id:seattle2017:20170830025207j:plain

電話ボックスのようなこちらの小部屋は、人二人が隣り合わせで座れるようになっており、その名の通り、館内でプライバシーを配慮した上で会話や電話ができるよう考案されたものです。これはハーバード大学Library Innovation Labという部門が考案したもので、他にも様々なスケッチ(と呼ばれるプロジェクト)を通じ、図書館での新たな試みを行っています。↓参考にしたい取り組みもたくさんあります。

lil.law.harvard.edu

こちらの書棚にあるのも、Library Innovation Labのプロジェクトの元、取り組まれていることに関連する資料。プロジェクト名はCaselaw Access Projectです。

f:id:seattle2017:20170830021036j:plain

州の裁判所による判決は本来パブリックに公開されており、誰もが見る権利を有していますが、裁判所が公式に発行する判例集自体は、オンラインでのアクセスが行えるようにはなっていません。この判例集をデジタル化し、オープンアクセスを可能にしよう、という取り組みがこのプロジェクトで、上の写真はデジタル化が終了して外部書庫に送られるのを待っている判例集たちです。本は背を切られ、ページが1枚づつスキャンされます。それが終了すると、一冊一冊が専用の機械で保存のためパッケージに入れられ、上記のよう積まれています。

デジタル化を担当している方に少しお話を伺えたのですが、とにかく量が膨大で、デジタル化するスピードも早い!ということがよくわかりました。スキャンしたページ数は2016年だけでも25,000,000ページ以上。これは一週間辺りにすると45,000~50,000ページ、働いているスタッフ数を鑑みると一人1日9,000ページ、1時間で80ページ以上を処理している計算だそう。(←ちょっと聞き取りに自信がないので違っていたらすみません…)もうすぐウェブで公開されます!

 

 4階にはアメリカ各法を扱う書架が並ぶReading Roomがあります。

f:id:seattle2017:20170830021107j:plain

館内は15年ほど前に改装されたそうなのですが、それまでこのフロアの書架は窓際に設置されており、日光を遮り少し暗い雰囲気だったそうです。今は明るく開放的な雰囲気です。

 

こちらも4階にあるCasperson Room。法学図書館としてもそうですが、法学に関するものとしては世界最大級というアートコレクションの一部を見ることができます。展示や講演などにも使用されており、展示前にはこちらでレセプションを行ったりもするそうです。

f:id:seattle2017:20170830021201j:plain

 

4階から隣の建物へ向かう渡り廊下には、巨大クッションの数々。かなり使い込まれているようで結構へこんでるのも多いです。Law Schoolの学生も(むしろだからこそ?)癒しと休息を必要としてるんですね…。

f:id:seattle2017:20170830021237j:plain

廊下を抜けるとInternational Legal Studies(ILS)の資料が並ぶ建物へ。日本法も含め、外国法もまとめてこちらに配架されています。

ILSではLC分類の他、今でも一部独自の分類であるMoody classification systemが使用されており、過去分に関しても、その分類に基づき請求記号が付与された本が並ぶ棚もあります。

f:id:seattle2017:20170830021503j:plain

 

最後に、Fine Arts Libraryのことも少しだけ。

特に東アジアの美術関連資料を収集している図書館としては、北アメリカ最大級というこちらの図書館。(建物に入って右手に入館ゲートがあります。)

f:id:seattle2017:20170830094234j:plain

そもそも東アジア関連資料を美術専門図書館として収集している大学は、北アメリカだとハーバードとプリンストン大学くらいしかないそうです。多くの場合は、東アジア図書館がコレクションの一部として所有しているそう。

こちらで紹介いただいた中で特徴的だったコレクションが、East Asian Painting Scrolls。300を超える日本と中国の巻物資料です。といってもFine Arts Libraryで保管しているのはすべてレプリカで、Art Schoolの授業で活用できるよう収集され、実際に学生が直接見たり触れたりできるようになっています。ハーバード大学の美術館に本物が所蔵されているものもあります。

 

本宿様とNanni様には、突然にもかかわらず時間を割いてご案内いただき、ボストンでは予定以上の、充実した図書館訪問を行うことができました。ハーバード大学では間もなく新学期を迎えるという時期で、学内にはオリエンテーション中の新入生の姿も目にしました。お忙しかったであろう時期に、本当にありがとうございました。

ボストン行自体は、実は出発直前までなかなか決まらず、旅程としては行き当たりばったり感も若干否めなかったのですが、思い切って訪問を決めてよかったです。唯一の心残りはボストン美術館に行けなかったことなので、また何かの機会に訪れたいものです。

 

これにて東海岸の図書館紹介は終わりとして、また次からはシアトルでの日常生活編をお送りしたいと思います~

 

~おまけ~

ハーバード大学ではハーバードクリムゾン(大学のスポーツチーム)のマスコットキャラクターがジョン・ハーバード(人)だということはわかったのですが、立ち寄ったCOOPやBookStoreではちょっと視界に入るところにはなかったので、代わりにボストンの鴨をお送りします。

f:id:seattle2017:20170830085527j:plain

図書館紹介~ハーバード大学Harvard-Yenching Library編~

東海岸図書館巡りもいよいよ最後、ボストンのハーバード大学をご紹介です。

言わずと知れたアメリカで最も歴史のある高等教育機関です。 

 

まずはキャンパス内の様子を少し。

大学の名称の由来にもなっているジョン・ハーバード像。触ると幸運が訪れるという靴先を撫でる&写真を撮るため、像には観光客の列ができてます。

f:id:seattle2017:20170828133331j:plain

今回は訪問しなかったHarry Elkins Widener Memorial Library(ワイドナー記念図書館)。ハーバード大学の図書館数はなんと73館、蔵書数は約2040万冊(大学HPによると)と大学としては世界最大規模を誇り、それらの図書館機能の中枢を担っているのが、メインライブラリーであるこの図書館です。

f:id:seattle2017:20170828134926j:plain

 

センタープラザに面するScience Center内には、2016-2017年にかけて改装されたばかりのGodfrey Lowell Cabot Science Libraryがあります。図書館の利用は学内者のみとなりますが、センター自体は誰でも利用できるので、同じ時期に改装されたCafeで一息つけたりします。

f:id:seattle2017:20170828135107j:plain

 

さて、ハーバード大学では東アジア図書館であるHarvard-Yenching Libraryの他、Harvard Law School LibraryとFine Arts Library の見学をしました。

 

まず訪れたのはHarvard-Yenching Library。

訪問日程が悪くJapanese Bibliographerの方にはお会いできなかったのですが、Librarian for Public Services and E-Resources担当のSharon Li-Shiuan Yang様に館内を案内いただいた他、日本語担当のテクニカル部門(カタログ、発注、受入担当)の皆さまにも面会させていただきました。なお館内の撮影は基本NGのところ、許可をいただき少しだけ撮影させていただきました。 

 

East Asian Languages and Civilizations部門が入るこちらの建物の1階に、Harvard-Yenching Libraryの入り口があります。この建物、昔は地理学の部門が使用していたそうで、館内の階段に地球のマーク?が掘ってあるという名残があったりしました。

f:id:seattle2017:20170828141303j:plain

f:id:seattle2017:20170828141158j:plain

入館すると正面には、レファレンスブックと新着雑誌が壁に沿うように配架されているReading Roomがあります。 

f:id:seattle2017:20170828142149j:plain

 

入館した右手には、サーキュレーションリザーブ、そしてレファレンスデスクがあります。レファレンスデスクは平日の午後、各言語のBibliogpherが日替わりで担当しています。

 

DVDが並ぶ廊下を抜けると、マイクロ資料室と地下1~3階からなる書庫があります。

マイクロ資料は他では中々見なかった量で、特に日中韓の新聞資料について、マイクロで所蔵しているものが多くあります。なおこちらの図書館では日中韓以外にベトナム言語の資料も所蔵しているのですが、ベトナムの新聞はマイクロのものがなく、原紙ままで保管をしているそうです。

f:id:seattle2017:20170829072654j:plain

 

書庫では、日中韓それにベトナム語、西洋言語(東アジア研究を扱う洋書。本来はMain Libraryが収集する対象だが基本的な本は購入しているそう)と、言語ごとに本は配架されています。日本語資料は1階の一部から2~3階部分に配架されています。

Sharonさん曰く、日本語資料は大きさが小さいものがそれなりにあり、書棚数が他より増やして配架できるとのこと。(下の写真の箇所は9段分、書棚の上にまで配架されています!)

Harvard-Yenchingのコレクションとしては、日本語資料は約90%、中国語資料は約60%が図書館にあり、残りがHarvard Depository(外部書庫)に送られているとのことです。(韓国語とベトナム語はちょっとわかりませんが…)

また、書架と書架の間には本をリザーブして置けるキャレルがあります。特に院生の利用が多いそうです。

f:id:seattle2017:20170828142540j:plain

 

本の分類方法は、今はLC分類を採用していますが、1996年まではHarvard–Yenching Classificationを採用していました。今まで回ってきた他の東アジア図書館も、今でこそLC分類を採用していますが、以前はこちらの分類だったという図書館も多かったです。名前の通り、Harvard-Yenching Libraryから広がった分類システムで、LC分類では適切な主題がなかったり、大きな括りになってしまう東アジア地域の分類をより細かに行うことができました。

 

地下の自動書庫には中国書が配架されていますが、棚と棚の間に覗く壁際の書架もそのまま活かされ、本がぎっしりと配架されています。

f:id:seattle2017:20170828144326j:plain

 

地下には書庫の他、事務室もあります。下の写真は整備済みの新着図書ですが、書架には配架されずに外部書庫に行く本たちです。ブックトラック以外にも、送付されるのを待つ箱々がバックヤードに積まれていました。外部書庫の本は取り寄せももちろんでき、箱のやり取りは毎日行われているそうです。

f:id:seattle2017:20170828142415j:plain

 

他にも写真には収めていませんが、3階にあるスペシャルコレクションや、未整理の寄贈資料、北朝鮮出版資料、3年前に収集された館内でのみ利用可のManchuguo collectionなどを見せていただきました。

 

面白い資料としてはこんなものも。ゲーム資料です!

教員が研究のために購入したものを保管しているとのことで、蔵書検索もできるようになっています。ただし再生するためのゲーム機本体はありません…。

f:id:seattle2017:20170829084554j:plain

今後ゲーム資料のカタログを取る機会があったら(あるかわかりませんが…)、こちらのレコードを参考にしようと思いました。

 

Sharonさんには、次の予定もありご多忙の中館内案内をしていただいたり、この後訪問することとなるLaw LibraryとFine Arts Libraryの方々にも当日繋いでいただき、大変お世話になりました。テクニカル部門の皆様にも、その場での急な質問に多く答えていただくこととなり大変ご面倒をおかけしましたが、発注からカタログまでの過程を詳細に知ることができた訪問、そしてインタビューでした。ありがとうございました。

 

さてさてまさかのハーバード大学図書館紹介は次回へ続きます。

いい加減、旅行をしてから時間が経っていて、記事をあげるのが遅くて申し訳ないのですが、もう少しだけお付き合いください!

図書館紹介~イェール大学編~

東海岸図書館巡り第3弾はNew Havenにあるイェール大学。

アメリカ最古の計画都市のひとつである街とそして伝統ある大学。New Haven訪問日は天気にも恵まれ、図書館だけでなくキャンパス内もたくさん写真を撮って歩いてしまいました…。

f:id:seattle2017:20170827055449j:plain

f:id:seattle2017:20170827055648j:plain

 

イェール大学で面会したのはLibrarian for Japanese Studiesの中村治子様。大学のメインライブラリーであるSterling Memorial Library (スターリング記念図書館)内にあるEast Asian Reading Room及び日本語コレクションの一部をご案内いただきました。

 

こちらがSterling Memorial Library。

1階は誰でも入れますが、書庫のあるフロアはセキュリティがあり、学内者のみが利用可です。

f:id:seattle2017:20170827055842j:plain 

エントランスホールは観光スポットの一つにもなっており、崇高な雰囲気に圧倒されます。首が痛くなるのにも気づかず天井を見上げ続けてしまうという…。

f:id:seattle2017:20170827061701j:plain

見た目も中身も年月を感じさせるゴシック様式の建造物ですが、実は1927年着工、1930年竣工と意外と新しく、あえて古く見せる建築方法をとっているそうです。

設計者は建築家James Gamble Rogers、イェール大学の他の校舎の建築も同時期に多く手掛けています。石造の彫刻家はRene P. Chambellanで、館内をよくよくみてみると、遊び心(と言っていいかわかりませんが)がたくさん!探すのが楽しいです。

 

1階にあるStarr Main Reference Room。アメリカに来てワシントン大学スザロ図書館に続いてこんな素敵なレファレンスルームを見れるとは…! 

f:id:seattle2017:20170827060205j:plain

 

その横にはもともと清掃用具を収納していたと思われる保管庫が。

f:id:seattle2017:20170827062025j:plain

 

展示ケースの並ぶ廊下の柱には個性豊かな石造の数々。

f:id:seattle2017:20170827062751j:plain

f:id:seattle2017:20170827062653j:plain

f:id:seattle2017:20170827062710j:plain

 

こちらは館内にあるMusic Library。建築当時は中庭だったの場所を、屋根を設けて館内仕様としたそうです。つまり窓のある壁部分は外壁にあたる部分だったんですね。

f:id:seattle2017:20170827063126j:plain

 

さてここからが本題ですが…

East Asian Reading RoomはSterling Memorial Libraryの2階に位置します。

f:id:seattle2017:20170827063521j:plain

こちらには雑誌とレファレンスブックが配架され、更に閲覧席が設けられています。今は工事中のため窓がおおわれていますが、(他の図書館内も含め)ステンドグラスがはめ込まれています。

以前はこの部屋にレファレンスデスクも設けていたそうなのですが、今は人が常駐することはないそうです。

 

レファレンスブックのある書架では、East Asian Studies所属の利用者が、借りた本をまとめて置いておくことができるReserved Shelvesがあり、実際に何冊もの本が借りている利用者の名前ごとに管理されていました。

f:id:seattle2017:20170827063724j:plain

閲覧席には障子を利用したパーテーション。

f:id:seattle2017:20170827063831j:plain

他には展示ケースもあり、イェール大学卒業生である朝河貫一の著作などが展示されていました。

 

2階にはReading Roomの他、East Asian Studiesが優先して使用できるクラスルームとセミナールームもあり、授業で使用されています。

f:id:seattle2017:20170827063929j:plain

 

さて2階のReading Roomから離れて一般書架へ。

Sterling Memorial Libraryは見た目からはわかりませんが、7階建て16層で約400万冊が収蔵されています。写真にはありませんが、館内エレベーターはボタンがかつて見たことのない仕様(M階ボタンが多い!)でちょっと不思議な気分です。

 

(ほかの東アジア言語もそうですが)日本語の一般図書は、他の西洋言語の資料と同様LC分類に基づき、一般書架に組み込まれる形で配架されています。

f:id:seattle2017:20170827064032j:plain

今回見せていただいた書架はLC分類で東アジア、アフリカ、オセアニアの言語・文学に当たるPLの書架。2M階に日本語部分にあたるPL501-889がまとまって配架されています。

 

日本語コレクションとしては、文学(特に江戸期)、歴史、映画(チラシ、パンフレット、カタログなど)、そしてLGBTQ(同性愛)関係などを強みとしています。イェール大学ではかねてよりLGBT 研究が盛んで、日本語コレクションとしては、2006年より、日本のLGBTQコミュニティ資料の収集などを行っています。

また貴重書のコレクションでは、前近代日本の資料としては日本国外でも大きな規模を所有する大学の一つでもあり、目を見張るものが多々あります。例えば時は幕末、ペリー来航時に主席通訳として同行していたイェール大学教授サミュエル・ウェルス・ウィリアムズ教授がアメリカへ持ち帰った資料の一つに、吉田松陰が「世界見物」を嘆願する書状が含まれていたりします。

 

図書館見学後は、大学のキャンパスツアーにも参加してみました。このツアーでしか入れない場所や、Beinecke Rare Book & Manuscript Libraryにも訪問できます。

個人的にツアー前の待合室で流れる”That's Why I Chose Yale”が面白くて、高校生だったらきっと入学したいと思う大学だな、と感じました。見るだけで楽しい気分になれるのでよければどうぞ!

www.youtube.com 実際の生徒と教職員が参加し作成されていて、撮影場所の一つに図書館が使用されていたのも(そしてその使われ方も)面白かったです。この映像を見終わった後、ツアーガイドの学生たちが「なぜ自分がイェール大学を選んだか」という理由と共に自己紹介をして、キャンパスツアーが始まります。

 

見どころポイントの一つはイェール大学、そしてNew HavenのランドマークでもあるHarkness Tower(鐘楼)。約66メートルと、他に高い建物を目にしないこの近辺では遠目でも存在がわかります。ツアーでは一般では入れない施錠されている中庭に入り、鐘楼や校舎の説明を聞くことができます。

 

青い空に聳える塔。

f:id:seattle2017:20170827070610j:plain

キャンパスのどこにいてもそうですが、特にツアーで訪れたゴシック建築に囲まれた静かな中庭でこの塔を見上げると、古の都にタイムスリップしたような錯覚に陥ります。

 

もう一つの見どころはスペシャルコレクションが収集されているBeinecke Rare Book & Manuscript Library。世界の美しい図書館としてもよく紹介されている特徴的な図書館。

f:id:seattle2017:20170827070818j:plain

外壁は大理石をはめ込んであり、光が当たると綺麗なそうな。収集されている資料はガラス壁で覆われた建物の中心部に柱のように配架されています。

f:id:seattle2017:20170827070956j:plain

入り口からぐるりと、この周りを囲むように展示ケースやソファーが配置されています。

ちなみに展示ケースにはグーテンベルグ聖書が展示されています。Library of Congressにあったグーテンベルグ聖書には、(ツアーで説明してくれるのもあって)人だかりもできていましたが、こちらではみな目もくれず、書架と壁ばかりに注目しているという…。

 

ツアー以外はSterling Memorial Libraryと地下で繋がっているAnne T. and Robert M. Bass Library(学部生用図書館)に行ったり、Book Storeに寄ったりしていたら1日があっという間でした。時間がもっとあれば大学の美術館にも行ってみたかったのですが、New Havenでは宿泊しない予定だったので泣く泣くその日の夕方にBostonまで移動しました。

 

今回面会した中村様には、滞在スケジュールが短く、また中村様ご自身もご多忙の中、館内の案内だけでなく移動中や昼食中でも終始こちらの質問に回答いただいたり、また大学内の見どころなどもご紹介いただきました。

 

最近の図書館トピックでは、スターリング記念図書館の中央に位置していたテクニカル部門が、2016年1月(←最近でもないですかね…)に図書館から15分ほど離れた場所へ移動し、その跡地にはCenter for Teaching and Learningが入った、という話を聞きました。また、9月にオスロで開催されるEARJS(日本資料専門家欧州協会)年次大会でご発表されるということで、そのことについても少しお話を伺ったりしました。とにかくここには挙げきれないくらい、短い時間で図書館のこと、大学のこと、New Havenのことと多岐にわたるお話に、またゆっくりと訪れる機会を持ちたいなと思う滞在となりました。ありがとうございました。

 

~おまけ~

イェール大学のマスコット犬、Handsome Danくん。バスにも乗ってます。

f:id:seattle2017:20170827073501j:plainf:id:seattle2017:20170827073417j:plain

f:id:seattle2017:20170827073442j:plain

f:id:seattle2017:20170827073555j:plain

図書館紹介~コロンビア大学編~

東海岸図書館紹介第2弾はニューヨーク市マンハッタンに位置するコロンビア大学、C.V. Starr East Asian Library。

アメリカでも最古最大規模の東アジア図書館の一つです。

 

こちらでは、Japanese Studies Librarianの野口幸生様にインタビューを行った後、館内をご案内いただきました。ちなみにiPod tours of Starr Libraryなるものも図書館のWebサイトにあります。日本語の案内ありです。

 

C.V. Starr East Asian Libraryのあるコロンビア大学モーニングサイドキャンパスは、最寄りの地下鉄の駅から地上に出ると、すぐ目の前に位置します。

f:id:seattle2017:20170826011604j:plain

f:id:seattle2017:20170826011621j:plain

 

キャンパス中央のButler Library(メインライブラリー)前の広場は生憎整備中。

f:id:seattle2017:20170826011705j:plain

現在キャンパスのメインストリートとなっているCollege Walkは昔公道だったそうで、北側はUpper Campus、南側はLower Campusと分断されていたそうです。

 

C.V. Starr East Asian Libraryはかつてコロンビア大学のメインライブラリーとして機能したLow Library(現在は大学本部として機能、Visitors Centerも入り口近くにある)に向かって右手の…

f:id:seattle2017:20170826011748j:plain

Kent Hall3階から入館できます。

f:id:seattle2017:20170826011910j:plain

↑この階が3階のため、入ると正面に図書館への入り口があります。

f:id:seattle2017:20170826011939j:plain

かつてはLaw Schoolの校舎として使用されていたKent Hall。Law Schoolの移転に伴い、1962年にEast Asian Libraryも含む、East Asian Studies関係の学部などが場所を譲り受けました。

閲覧室奥に輝く正義の女神のステンドグラスからは、Law Schoolであった名残がみられます。

f:id:seattle2017:20170826012123j:plain

 

館内は3階にReading Roomとレファレンス資料や新聞・雑誌、1~2階のStacksに一般図書が配架されています。

f:id:seattle2017:20170826012335j:plain

f:id:seattle2017:20170826012259j:plain

木柱や木の書棚に囲まれた落ち着いた雰囲気で、中2階に設けられた閲覧席では勉強もよく捗りそうです。

 

壁にはコロンビア大学の日本文学・文化研究者といえばこの方、ドナルド・キーン名誉教授のプレートも。キーン名誉教授は現在でも図書館の強力なサポーターだそうです。

f:id:seattle2017:20170826013214j:plain

 

同フロアには情報検索のためのPublic Work Station (PC)エリアもあります。

通常のPCの他、日中韓の言語ごとにわかれたCD/DVD専用のスタンドアローン端末が設置されています。

f:id:seattle2017:20170826013446j:plain

 

利用者スペースと事務スペースの境には、1893年シカゴで開催された世界万博日本館に展示されていたという木製キャビネットが聳えています。

f:id:seattle2017:20170826013520j:plain

 

1~2階のStacksは、建物の天井が高いため1階分を更に半分に区切りM階としており、4層の書庫フロアとなっています。M階部分の床はかつてガラスのままだったそうなのですが、コロンビア大学の共学化に伴いすべて塗装し直したという名残も残っていました。

 

日本語コレクションとしては人文科学と社会科学分野を中心に蔵書構築しており、特に文学、歴史、宗教、美術の分野が強みとなっています。近年は学際的な研究も盛んなため、自然科学系の資料も収集の機会が増しているそうです。

書庫を回ってみて、館内にある資料だけでも十分な点数だと感じましたが、全体(約100万冊!)の半分以上がプリンストン大学との共同外部書庫に送られているそうです。日本語コレクションは、内約30万冊強。書架の狭隘化もあり、過去10年で貸出がない資料は、機械的に外部書庫行としているとのことです。

 

日本語以外のコレクションでは、チベット言語の資料が所蔵されているのが特徴的でした。写真には収め損ねたのですが、細長い経典が1本1本収められるよう専門のキャビネットが設けられていました。Tibetan Studiesのライブラリアンはカナダのトロント大学と兼務しており、両大学共同での蔵書構築と研究支援が進められています。

 

図書館以外では、キャンパス内も少しご案内いただきました。

 

コロンビア大学は1754年にキングスカレッジの一つとして誕生し、1897年に現在の地、Morning Heightに移転しました。移転してからも120年という歴史があるキャンパスには、歴史的な建造物、趣ある様々な様式の建造物が数あります。大学のロゴは王冠。

 f:id:seattle2017:20170826013731j:plain

 

Kent Hallをでると目にとまる(隣のPhilosophy Hall正面にある)ロダンの「考える人」。

 

f:id:seattle2017:20170826013815j:plain

 

中は撮影禁止のSt. Paul's Chapel。美しく荘厳な雰囲気に神聖な気持ちになります。

f:id:seattle2017:20170826013906j:plain

挙式もできるようで、ワシントン大学での同僚がかつてこちらで結婚式を挙げたとのこと。

  

コロンビア大学訪問は2日にわたり行い、1日は野口様に面会、もう1日はJapanese Catalogerの森本英之様にお会いし、アメリカにおける日本語資料の目録作成に関連するお話を伺いました。こちらに来てから忘れそうになりますが、一応目録担当なので…!

野口様との面会では、Japanese Studiesの学生の中でも、日本語があまり得意でない学生に対する支援の難しさや、英語で書かれた日本研究資料を探すことの難しさを伺いました。日本語ではよく扱われそうなテーマであっても英語では扱いがなく、特に人文系領域の英語文献の少なさと、(日本語が十分に読めない学生は、場合により)それにより研究テーマを変更せざるを得ない状況があるというエピソードが印象的でした。

森本様には、私個人からの質問だけでなく本学の目録担当からの質問も併せて、目録に関する多岐にわたる内容にお答えいただきました。ワシントン大学でのカタログ作業では、「日本語のカタログはコロンビア(森本さん)のレコードを参考にする」と日々聞いていたので、直接質問のできる貴重な機会を得られて感激です。

 

お二人ともお忙しい中、インタビューに長くお時間を取っていただいた上に資料をくださったり3人でお昼をご一緒したりと、お二人のおかげでニューヨーク滞在の2日間、充実した訪問を行うことができました。

 

最後にもう一つコロンビア大学関係のエピソードを…

ワシントンD.C.からNYへの移動時に乗るはずの高速バスが全然来ず、D.C.の駅でだいぶ苦労したのですが、その時に助けてくれたトラベラーがコロンビア大の院生でした。その時はそうとは知らずにD.C.で別れたのですが、翌朝ばったりキャンパスの中で会って本当に驚きました。

大都会で人の縁とあたたかさを感じることのできたコロンビア大学訪問でした。

 

~おまけ~

コロンビア大学のBook Storeにて。

ライオンがマスコットキャラクター!かっこいい!

f:id:seattle2017:20170826014342j:plainf:id:seattle2017:20170826014504j:plain

図書館紹介~メリーランド大学編~

 

東海岸図書館巡りはワシントンD.C.郊外に位置する、メリーランド大学から始まりました。

 

f:id:seattle2017:20170824095935j:plain

なお今回の図書館巡りは、東海岸地域の東アジアコレクションの見学及びそこに勤務するJapanese Studies Librarianの方々に面会し、アメリカで日本研究を行う研究者への支援内容や、Subject Librarianとしての仕事の様子をお伺いすることを目的としました。

 

メリーランド大学では、プランゲ文庫室長兼East Asian Studies Librarianの巽由佳子様に、プランゲ文庫及び東アジアコレクションを所蔵するMcKeldin Libraryをご案内いただきました。

 

ゴードン W. プランゲ文庫はHornbake Library4階に位置しています。

 

f:id:seattle2017:20170824100059j:plain

f:id:seattle2017:20170824100128j:plain

コレクションは終戦後の1945~1949年に、GHQ配下機関である民間検閲局(Civil Censorship Detachment)によって収集された日本で出版された印刷物。メリーランド大学の教授であり、当時GHQで歴史室長を務めていたプランゲ博士の手によって、検閲制度が終了した後木箱に詰められ海を渡り、メリーランド大学へと運ばれました。日本国内では所蔵のない資料を多く有しており、利用者はアメリカ国内のみならず、日本からの研究者も多く訪れます。

 

コレクションは保存のためマイクロ化、デジタル化が進められており、現在図書については児童書や教科書関係資料がアーカイブ化は完了、現在は社会科学系分野のデジタル化が進められています。

f:id:seattle2017:20170824100307j:plain

コレクション内の図書は、児童書と教科書コレクションの他、文学、経済、政治など分野ごとに分類整理がされ、配架されています。検閲にあたり、出版社はCCDに2部資料を提出することを義務付けられていましが、検閲後は1部が出版社へ返却され、残る1部をCCDが保管していました。CCD保管用だった分がこのプランゲ文庫にあるのですが、中には同タイトルの資料が複数冊ある場合もあり、今となっては返却しなかったのか、もともと2冊以上提出されていたのかわからないものの、重複する本もすべて含め、1冊1冊をコレクションとして保存しています。

中には分類自体が終わっていない資料(和装本など)もありました。

 

また、デジタル化したくとも物理的に難しい資料の一例をご紹介いただきました。

点字の出版物です!

f:id:seattle2017:20170824100354j:plain

私の性能の悪いカメラでは点字を全く映せていませんが…このように直接現物に触れてこそ意味がある資料は、保存のためにはデジタル化が必要であるものの、利用のためにはそれだけでは十分でない資料があることを教えていただきました。

また、検閲の対象にこのような資料も含まれていたのというのも興味深いです。実際には検閲できる人物がおらず、収集されただけに留まったものもあるようです。

 

こちらは壁新聞。学校の壁などに貼られていたとか。

同様のテーマで地域ごとに発行されていたため、地域の特色が見られる新聞です。

f:id:seattle2017:20170824100433j:plain

壁新聞のコレクションは、2018年に完全オープンアクセスで公開予定となっています。

資料としては保存のためにデジタル化しても、著作権等の関係で完全にオープンにはできず、結局はキャンパスまで足を運んでもらいデジタル化された資料を閲覧してもらうという現状もあるため、今回オープンアクセスとなることはプランゲ文庫コレクションとしては画期的な取り組みになるそうです。公開をお楽しみに!

 

既にマイクロ化が終了している新聞&雑誌の箱々。写真だとこの箱数の多さに圧倒されることを伝えきれないのが残念なのですが、雑誌は約13,800タイトル、新聞は約18,000タイトルという点数が保管されています。

f:id:seattle2017:20170824100539j:plain

 

プランゲ文庫を見学した後は、メリーランド大学のメインライブラリーMcKeldin Libraryに所蔵されるEast Asia collection見学へ。

1階にあるPeriodicalと、4階にある以下の集密書架に配架される資料が中国・韓国・日本語のコレクションとなります。

f:id:seattle2017:20170824100715j:plain

メリーランド大学での日本語資料のコレクションポリシーとしては、Japanese Studiesで必要となる分野の他、特にプランゲ文庫でも扱っている占領期についての資料は積極的に収集するようにしているそうです。館内は資料再配置の真っ最中で、東アジアコレクションもまた違う書棚へ移動されるそうです。

 

McKeldin Libraryでは東アジアコレクション以外にも館内全体を一通り回ってみました。

メインライブラリーということもあり規模も大きく、2階には近々完成予定だというResearch Commonsがあります。この階は書架なしです。

f:id:seattle2017:20170824100835j:plain

夏休み中ということで人はまばらでしたが、学期期間中は人が多いそうです。どこのコモンズスペースも、学生には人気なんですね。

色々な形の机やいすが好きなように動かせるように配置されています。

f:id:seattle2017:20170824101005j:plain

↑組み合わせの難易度が高そう。

 

1階にはカフェが。図書館入り口の手前側にあります。

f:id:seattle2017:20170824101124j:plain

今は人を配置しなくなったという受付の名残も。

f:id:seattle2017:20170824101200j:plain

 

そしてこちらが外観です。

 

f:id:seattle2017:20170824101446j:plain

 

メリーランド大学D.C.中心部から電車で30分、駅からも15分ほど歩いた閑静な場所に位置しています。

赤レンガの建築と白く舗装された歩道で統一されたキャンパスは、散策しても良し、ベンチに腰掛け時を過ごすだけでも心穏やかな気持ちになれる雰囲気の場所でした。

f:id:seattle2017:20170824101607j:plain

 

今回面会した巽さんには、旅の初日で緊張も大きかったのですが、気さくなお人柄に旅の疲れも吹き飛び、楽しく見学とお話を伺わせていただくことができました。誠にありがとうございました!

 

~おまけ~

メリーランド大学の顔でもあるブロンズ像のTestudoとマスコットキャラクターの亀。

アメリカに来てから色々な大学を訪問しましたが、今のところメリーランド大学が一番マスコット(亀)をいたるところで目にした気がします。

f:id:seattle2017:20170824101804j:plain

f:id:seattle2017:20170824101707j:plain

f:id:seattle2017:20170824101729j:plain

f:id:seattle2017:20170824101916j:plain